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2012年6月 3日 (日)

VOCALOIDのVELパラメータについて

昨日Twitter上で、VOCALOIDのVELパラメータの使い方について質問を受けました。そのときの回答をこちらにも書いておきます。最近、Twitterの方でいろんなことしゃべっているので、こっちに書くネタが少なくなっちゃってる気がします。記録を残すためにもちゃんとこっちでも書くようにしないといけませんね。更新頻度も下がってますし(笑

まず、自分のやり方としては、ピアノロールで音符を打ち込んで、次に手をつけるのがVELパラメータです。VELはvelocityの略ですが、MIDIで普通使われるベロシティとは全然違います。velocityは英語で「速度」を意味しますが、MIDIの場合、鍵盤を押し込むスピード、すなわち音の大きさを表します。余談ですが、MIDIの場合、ベロシティ以外にも音量を調節するパラメータがありますが、ベロシティの場合、音量に加えて音色変化をも伴うのが一般的です。なぜなら、一部のものを除いて、生楽器を強く弾いたり吹いたりしたときと、弱く弾いたり吹いたりしたときでは音色が違うものですからね。

で、話を元に戻してVOCALOID(V2以降)の場合、VELは「発声のスピード」を変えるパラメータになります。発声のスピードってなんぞ?と思われるでしょうが、具体的には、子音の発音タイミングが変化します。日本語の場合、母音として使われるのは「あ、い、う、え、お」の5つ、それ以外の音は子音に前述の母音を組み合わせて発声されます。たとえば「か」の場合、「カ行の子音」+「あ」になるわけです。ここで注意してほしいのは、あるタイミングで「か」と発声しようとした場合、カ行の子音はそのタイミングよりちょっと早めに発声が始まり、ジャストのタイミングで「あ」が発声されるということです。下の図は「あ」と「か」の発生の波形です。

Ak1

VELの値は、この子音の発声をどれだけ前後にずらすかを表します。値が小さい場合は速めに、大きいときは遅めになります。標準値は64です。下の図は「か」の発声における、VEL=20, VEL=100の場合のそれぞれの波形になります。

Ak2

では、実際の調教でどのように設定するかです。まず、フレーズの頭はVELは下げます。すなわち子音を早めに出します。こうすることで子音が出ている時間が長くなるため、はっきりとした発声になります。逆に、フレーズの中では上げます。子音を短くすることで、前の音とのつながりを滑らかにするのが狙いです。この2点がわたしの基本設定になります。たとえば「きみのこえがー」というフレーズがあった場合、「き」を下げ、それ以外は上げになります。次に、文節を見ます。上記の例では「きみの」と「こえが」の2つに分割できると思います。それぞれの文節に対しても、さきほどの基本方針を適用します。ただし、フレーズのほうが重要なので、パラメータの変化量はさきほどより小さめになります。結果、「こえが」の「こ」のみ、若干VELを元に戻す方向へ修正することになります。ほかにも、音符の長さによって若干量の調整を行います。基本は短い音符の次の音のVELを若干上げます。

VOCALOIDエンジンは、子音を長く取るほど、発声準備時間(=発声前の無音時間)を長くするロジックになっているようです。つまり、VELを下げると、前の音との間に無音時間が長く入るという傾向にあります。わたしは促音(ちいさい「っ」)の調整にこれを利用しています。たとえば「きっと」というフレーズがあった場合、通常は「き(休符)と」としますが、わたしは「きーと」と入力し、「と」のVELを下げます。そうすると「きーっと」のような発声になります。ピアノロールにおいては「休符=データのない区間」ですが、VOCALOIDエンジンは必ずしもデータのない部分を文字通りの休符にしてくれるとは限りません。前後の歌詞や音長によってばらばらのタイミングになります。特にデータのない部分が短時間の場合、休符にならずつながってしまうことが多いです。VELによる発声準備時間は、短時間の休符をかなり自由にコントロールできるのです。実際のV3エディタの画面が下の図になります。「the last night」2番の「どれくらい経ったのだろう? 携帯に手を伸ばす」のところです。フレーズ頭および促音でのVEL下げと、フレーズ中間でのVEL上げが見て取れるかと思います。

Tln

これらの点を見ると、VELはかなり万能のように思われるでしょうが、弱点もあります。まず、母音だけの音には効果がありません。発声に子音を含まないので当然ですね。また、子音の種類によって効きが違うので、それぞれの音で調整できる範囲が変わってきます。発声準備時間についても、副作用を利用しているので、極端な設定にすると本来の音にも影響が出てしまいます。なので、最終的には音を聞きながら少しづつ調整し、駄目な場合は別の方法で調整することになります。

とはいえ、フレーズに対して基本の2つをやってみるだけでも、特にV3エンジンでは効果がはっきりと分かります。ゆかりさんはデフォルトで音のつながりがよくできているため、DYNやPITに手をつけてもVELは無調整、と思われる曲が結構見受けられます。いままでVELなんか手をつけたこともない、という方は、だまされたと思ってVELをいじってみてください。上手く調整すれば見違える、いや、聞き違えるような滑らかさで歌ってもらえますよ!

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